汐留美術館(クールベと海展) 2021.04.20(火)快晴

 東京・新橋の汐留美術館で、4月10日から6月13日まで開催中の「クールベと海」展を観に行きます。副題は「フランス近代 自然へのまなざし」です。
 15分刻みでウェブ日時指定予約してから入場します。なお滞在時間の制限はありません。

 主催者によると、「19世紀フランスを代表するレアリスムの巨匠ギュスターヴ・クールベ(1819−1877)。あるがままの現実を描くことで、既存の政治や美術制度に敵対的な態度を表明した一方で、故郷フランシュ=コンテ地方の大自然や動物、22歳の時に初めて目にしたノルマンディーの海を繰り返し描き、その鋭い洞察力や高い技術力が評価された。本展では、こうしたクールベの風景画家としての側面に焦点をあて、とりわけ画家が1860年代以降に集中的に取り組んだ『波』連作を中心に紹介する。巨匠クールベが捉えた海の風景画の特異性を探る」とあります。

 最寄り駅はJR新橋駅銀座口で、パナソニック東京汐留ビルへは徒歩12分で着きます。
 初めて訪れる汐留美術館は、このビルの4階にあります。
DSC04096.JPG

 本展のリーフレットの表と裏です。(写真をクリックすると大判になります)
IMG_20210420_0001.jpg

IMG_20210420_0003.jpg

 会場内は撮影禁止のため、主な展示品の備忘録です。

-----------
・展覧会は、つぎの5つの章により構成される。
 Ⅰ「クールベと自然―地方の独立」、Ⅱ「クールベと動物―抗う野生」、Ⅲ「クールベ以前の海―畏怖からピクチャレスクへ」、Ⅳ「クールベと同時代の海―身近な存在として」、Ⅴ「クールベの海―奇妙なものとして」

Ⅰ「クールベと自然―地方の独立」

 「フランシュ=コンテの谷、オルナン付近」は、クールベ画、油彩・カンヴァス。本作は、画家の生まれた故郷オルナン近郊の村を描いたものである。石灰岩質の白っぽい岸壁を背景に沿って並ぶ家々がそのまま描かれている。岩肌の表現にはパレットナイフが用いられており、この土地特有の岩山のマティエールを見事に表現している。 注.「マティエール」とは仏語、材質によって造りだされる美術的効果。
 また、本作に見られる明るく軽やかな筆触は、この頃画家が交流を持った印象派の画家たちの影響によるものだろう。
 なおこの作品は、リーフレット裏面の中段右に使われている。

Ⅱ「クールベと動物―抗う野生」

 「狩りの獲物」は、クールベ画、油彩・カンヴァス。クールベが1857年のサロンに出品した狩猟画の唯一の縮小版。分け前として猟犬に獲物の一部を与える前の儀式を表したものだと思われる。仕留められる動物を讃えるための曲がホルンで演奏される。ここでは野生の動物が、獲物でありながらも敬意を示すべき存在として表されている。中央の木に寄りかかる狩人には、クールベの自画像との類似が指摘されている。
 なおこの作品は、リーフレット裏面の上段右に使われている。

Ⅲ「クールベ以前の海―畏怖からピクチャレスクへ」(省略)

Ⅳ「クールベと同時代の海―身近な存在として」

 「浜辺にて」は、ウジェーヌ・ブータン画、油彩・カンヴァス。クールベと同時代に活躍したブーダンは、ノルマンディー沿岸部の町トゥルーヴィルやドーヴィルの浜辺に憩う同時代の人々の生き生きとした姿を多数描いた。本作もその1点で、光満ちあふれる空を画面の上方に大きく取り入れたブーダン独特の構図に、日傘や帽子、華やかな衣服を纏った女性たちを見ることができる。当時の浜辺は、パリから訪れる観光客にとっての社交の場であったことが窺える光景である。
 なおこの作品は、リーフレット裏面の下段中央に使われている。

 「アヴァルの門」は、クロード・モネ画、油彩・カンヴァス。本作でモネは、1880年から1885年にかけて、定期的に訪れたエトルタのアヴァルの門を描いている。アヴァルの門は、その特徴的な形が多くの芸術家を魅了し、ターナーやドラクロア、そしてクールベによって描き継がれてきたモティーフである。ドラクロアやクールベが浜辺の少し離れた位置から水平方向にこの崖を捉えているのに対して、モネは崖の上から水面を見下ろすような構図で描いている。
 なおこの作品は、リーフレット裏面の下段左に使われている。

Ⅴ「クールベの海―奇妙なものとして」

 「波」は、クールベ画、油彩・カンヴァス。クールベは、1869年8月にエトルタを訪れ、独自の「海の風景画」を多数制作した。波のみをクローズアップし、切り取ったこれらの作品は、連続する波を描いたもの。聳えたち、渦巻く波を描いたものの、大きく2つに分けることができる。パレットナイフを用い、絵画の物質性が強調された波の姿は、動きのある永続的な海を凝固させたものであると同時に、オルナン近郊の山岳風景との類似も指摘されている。
 なおこの作品(部分)は、リーフレットの表面に使われている。

 「エトルタ海岸、夕日」は、クールベ画、油彩・カンヴァス。1869年のエトルタ滞在時に描いた一連の「海の風景画」連作の中でも、クールベはこの地の特徴的な断崖をモティーフとした作品を8点ほど描いており、本作はそのうちのひとつ。本作で断崖は左端に、その先端部分のシルエットのみが描かれ、画面の中央には水平線に沈みゆく太陽が、陽光のオレンジやピンクに染まる水面や雲とともに描かれている。クールベの「海の風景画」連作は、モネにも大きな影響を与えた。
 なおこの作品は、リーフレット裏面の中段左に使われている。
-----------

 会場出口には記念撮影コーナーが設けられています。(写真をクリックすると大判になります)
DSC04098.JPG

<付録>
◆美術館の西側に隣接する「旧新橋停車場」復元駅舎
DSC04102.JPG

 正面玄関の階段前にある解説板(写真をクリックすると大判になる)
DSC04103.JPG

<関連記事>
◆三菱一号館美術館(コンスタブル展) 2021.04.06(火)晴
◆上野の森美術館(ゴッホ展) 2019.11.12(火)快晴
◆横浜美術館(ルノワールとパリに恋した12人の画家たち) 2019.10.02(水)快晴
◆東京都美術館(コートールド美術館展) 2019.09.19(木)快晴
◆国立西洋美術館(松方コレクション展) 2019.08.09(金)快晴
◆横浜美術館(モネ展) 2018.08.21(火)快晴
◆損保ジャパン日本興亜美術館(ターナー展) 2018.06.05(火)曇
◆国立新美術館(至上の印象派展) 2018.03.23(金)晴
◆国立西洋美術館(北斎とジャポニスム展) 2017.12.07(木)快晴
◆東京国立近代美術館(MOMATコレクション展) 2017.10.04(水)曇
◆三菱一号館美術館(レオナルド×ミケランジェロ展) 2017.08.03(木)曇
◆松岡美術館(印象派・新印象派展) 2017.07.04(火)曇
◆三菱一号館美術館(オルセーのナビ派展) 2017.04.20(木)晴
◆東京富士美術館(とことん見せます! 富士美の西洋画展) 2017.01.17(火)晴
◆東京都美術館(ゴッホとゴーギャン展) 2016.10.26(水)快晴
◆横浜美術館(メアリー・カサット展) 2016.08.24(水)晴
◆国立新美術館(ルノワール展) 2016.08.3(水)晴
◆東京国立博物館(古代ギリシャ展) 2016.07.29(金)快晴
◆東京都美術館(マルモッタン・モネ美術館所蔵 モネ展) 2015.10.09(金)快晴
◆国立新美術館(ルーヴル美術館展) 2015.03.18(水)曇
◆東京都美術館(新印象派展) 2015.02.10(火)快晴
◆国立西洋美術館(モネ展) 2014.01.23(木)快晴
◆国立西洋美術館(ミケランジェロ展) 2013.10.17(木)晴
◆東京都美術館(レオナルド・ダ・ヴィンチ展) 2013.06.18(火)曇
◆国立西洋美術館(ラファエロ展) 2013.04.17(水)雲